「かぞくへ」春本雄二郎監督インタビュー
京都支部初のイベント、映画「かぞくへ」シネマツーリングが2018年6月3日に行われました。それに伴って映画「かぞくへ」をチア部でも応援・宣伝するために、春本雄二郎監督にインタビューさせて頂きました。
※この記事は、シネマツーリング当日に向けてツイッターで少しずつ紹介していたものをまとめたものです。
〈かぞくへ あらすじ〉
家族の温かさを知らず生きてきた旭は、同棲中の佳織と結婚を目前にしながら、よかれと思って紹介した仕事で親友の洋人を詐欺の被害に合わせてしまう。養護施設で家族同然に育ってきた唯一無二の親友と、認知症が進む祖母のために結婚式を急ぐ婚約者の間で、次第に旭は追いつめられていき・・・。
ー「かぞくへ」を”学生”に見てもらうにあたってどんなことを感じてほしいですか?
この映画の主人公は30代前半の男であり、登場する人物もほぼその年齢に近いか、もしくは上の年齢です。よって、描かれるエピソードが、20代の人にとっては未経験のことである可能性が高いと思います。
まずは『学生のみなさんよりも10も人生経験を積んだ人間が、どうして劇中で描かれるような選択をするのか?』ということを考えてもらい、『また、学生さんでも、共感できる人はどうして共感できるのか?』『共感できない人は、なぜ共感できないのか?共感できる人と、どう受け取り方が違うのか、人生経験が違うのか?』
ということを話し合ってもらいたいですね。
共感できる、できない、は正解でも不正解でもなく、ただ人間の経験や感受性が違うということだけ。多様な考え方の人間がいるということを感じてもらい、認め合う心を持ってもらえればと思います。
ちなみに、余談ですが。私は高畑勲監督の『おもひでぽろぽろ』を小学生の時見たのですが、全く面白さが理解できずで。大学生になって見返したときに、主人公の心情が理解することができ、とても大好きになったということがあります。
ー「かぞくへ」は全て手持ちカメラでの撮影ですが、この構想はいつ頃お考えになられましたか?
手持ちの手法は、この映画を企画した段階ですでに決めていました。ドキュメンタリー的なリアリティ・臨場感を出したかったので。
ー監督自身、松竹京都撮影所で働いていたとお伺いいたしました。京都にゆかりがある監督が印象に残っている場所や好きな場所はありますか?
嬉しい質問ですね。京都には、太秦に4年間住んでいたのですが、何か調べ物があると、平安神宮近くの図書館によく通っていました。プライベートで、自分のシナリオも書いたりしていました。天井が高くて開放的だったのが好きでした。図書館の行き帰り、東山から、三条京阪や御池辺りまで気分転換によく歩いたりもしていましたね。途中、橋から見える鴨川の風景が好きでした。あとは大覚寺、ですね。飽きるほどロケに行っていたので。
ー映画チア部は学生が学生に向けて、ミニシアターを宣伝する活動をしているということで、監督がぜひ学生に見てほしいという映画はありますか?
オススメの映画はありすぎるので、絞るのはとても難しいですね(笑)今(2018年5月現在)劇場でやっているミニシアター作品に絞るなら、『ザ・スクエア』これはぜひ見てほしいです。
あと、まだ僕も見れていないですが『万引き家族』は見てみたいですね。両作品とも、カンヌのパルム・ドール受賞作品です。
これは余談ですが、ミニシアターの映画は、監督の名前で見ていくといいです。お気に入りの作品も見てみて下さい。きっと気にいるはずです。
ー監督自身の経験の中で学生時代に、楽しかったことややっておいてよかったこと教えてください。
とにかく映画を撮り、監督になることしか考えていなかったので、映画の修行に関わることをしている時はいつでも楽しかったですね。
シナリオを書く。技術を学ぶ。理論を学ぶ。映画を観る。仲間同士で批評する。自主映画を撮る。
最高の思い出です。
やっておいてよかったことも同じです。
それによって『学びは待つことでは何も得られず、能動によってこそ得られるものがある』と気づけたので。
参考になれば幸いです。
春本監督、ありがとうございました!
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