奇妙奇天烈!ちょっとマニアックなミュージカル映画はいかが

 はじめまして。このブログで初めて記事を書きます、ダーマエです。

 私は映画のなかでもマニアックでヘンテコなものが大好きです。カルトムービーと呼ばれるような、特定の層にだけ絶大的な人気を誇る映画だったり、芸術的なものを好んで観ています。私の記事ではそうしたクセの強い映画を主に紹介して、その魅力をどんどん伝えていこうと思います。


 突然ですが、ミュージカル映画を見たことはありますか。

 『ラ・ラ・ランド』や『グレイテストショーマン』、『美女と野獣』。名前を聞いたことがある、または実際に見たという人が多いんじゃないでしょうか。近年はヒット作がたくさん出ていますね。

 ミュージカル映画というとどんなイメージを持ちますか?華やかな映像、美しい音楽、感動のストーリー…。自分の中でのミュージカルの印象としては、多くがサクセスストーリーで、涙を誘うもの、というような感じでした。実際、『アニー』や『SING』 などなど、ハッピーエンドで泣けるストーリーは非常に多く、ミュージカル映画の王道と言えます。

王道をゆく感動ものも勿論良いです。名作だらけで、作品名を挙げだしたらきりがありません。


……でもたまには新しい刺激がほしくなりませんか?強烈なインパクトに圧倒されてみたくはありませんか?


 ちょっとコアでマニアックな、王道から外れた変わり種のミュージカル映画を観てみませんか。なんだかよくわからないけどクセになる、至上のヘンテコエンターテイメント作品を紹介します。


ロッキー・ホラー・ショー (1975年 ジム・シャーマン監督)

 リチャード・オブライエン原作の舞台劇を映画化した作品。ちなみにオブライエンは映画ではキャストとしても参加しています。

左:フランクン・フルター博士(ティム・カリー)

右:リフ・ラフ(リチャード・オブライエン)


 この作品が奇抜であるのは、作品を支える世界観が様々なサブカルチャーのトリビュートによって構成されているから。1940年代から1970年代にかけてのSF映画やホラー映画のオマージュがふんだんに盛り込まれていて、どこか古めかしく、チープで奇妙な雰囲気を作り上げています。

 例えば、登場人物であるマジェンダは、映画の後半で『フランケンシュタインの花嫁(1935)』の花嫁そっくりの髪形で現れます。主役のフランクンフルター博士の名前も、フランケンシュタインが由来。ほかにも古き良きSF映画を連想させるようなシーンがいくつもあって、そうした映画に対する制作陣の愛と熱意が伝わってきます。


 さらに変わっているのが、服装倒錯や同性愛、性倒錯というような、特殊な性的嗜好、性の繊細な領域にがっつりと踏み込んでいること。濃い化粧にコルセットとハイヒール姿のトランスセクシュアル宇宙人フルター博士、男らしさが何たるか悩む主人公のブラッド、性的魅力に目覚めてしまうブラッドの妻ジャネット…。この映画は性についてとにかくごちゃごちゃ。それがまた映画全体の雰囲気をより不思議で非現実的なものにしているのだと思います。


 物語の内容は話すと長くなるので割愛しますが、前述のようなカオスな世界観の下で繰り広げられる話ですから、そりゃもう奇妙奇天烈なわけです。勢いに任せて観ていたらいつの間にか終わっていた、という感じで、あまり深く考えながら見るものではありません。エンターテインメント性に極振りした映画だと言えます。ハマる人にはそれが逆に病みつきになるはず。私自身、長期休暇中には飽きるほど鑑賞したものです。それも多い時で1日に3回。正直観すぎです。


 つまるところこの映画は一見意味不明でめちゃくちゃなようで、何度も見たくなるようなとんでもない魅力をもっているのです。世界各国でカルト的人気を集めたのも納得できます。今でいう応援上映的なイベントがありましたし、現在でも世界中で、日本でも舞台が上演されるほどです。

 ただ、その特異さについていけない人もいるわけで、観る人を選ぶ作品であることは間違いありません。でも新たな刺激を得られるというのは確実ですので、退屈な日々にパンチがほしいと思ったら、観てみるのもよいかもしれません。音楽もとにかく最高です。



トミー (1975年 ケン・ラッセル監督)

 ロッキー・ホラー・ショーと同年に制作された映画。なんというか、70年代は実験的な映画が多い気がします。

 

 この作品は60年代から80年代にかけて活動していたイギリスのロックバンド、ザ・フー(THE WHO)が1969年に発表したアルバム『TOMMY』を映画化したもの。

 音楽の映画化ってどういうこと?と思うかもしれませんが、このアルバムは曲自体がそれぞれストーリーを持っていて、アルバム1枚を通しで聴くことで小説を1つ読み終えたというようなことになる、というちょっと変わった音楽作品です。1曲目のプロローグに始まり、物語がいくつも続いて、最後はエピローグにあたる曲で終わる…。このように、曲同士が相互性を持ち、アルバムが物語として一貫しているものを、「ロックオペラ」と呼びます。ザ・フーを始まりとして、ジェネシスやピンクフロイド等のプログレッシブ・ロックバンドが後に続きました。ザ・フーは『TOMMY』の後に『四重人格』を制作し、これもまた『さらば青春の光』として映画化されています。

THE WHO 『TOMMY』


…話がちょっとマニアな方に逸れてしまったので、この映画がどう奇抜であるかを紹介します。

 まず先程も書いた通り、この映画は音楽を映像化したという点で変わっています。1つのアーティストのみの楽曲を使うミュージカル映画というと、ABBAの楽曲で構成される『マンマ・ミーア!』が思い浮かびますが、『トミー』はオリジナルのストーリーに楽曲を重ねる『マンマ・ミーア!』と違い、ストーリーそのものが曲の通り、歌詞のままなのです。ロックオペラという音楽のジャンル自体がそもそも珍しいものだったとはいえ、この映画は非常にまれなスタイルをとっているのではないかと思います。

 そしてキャスト。主人公のトミー役はなんと原作のアルバムを作ったバンド、ザ・フーのボーカルであるロジャー・ダルトリー。本作は彼の俳優デビューに当たる作品なのですが、彼の役は、口もきけない耳も聞こえない目も見えないという三重苦を抱えている人物で、演じるのが非常に大変なものでした。俳優初経験にいきなりそんな役やらせる!?と誰しも思うでしょうが、意外にもダルトリーはこの難しい役を見事に演じ切りました。本当にすごい、初めて俳優をやったとは思えない、迫力のある演技です。

 トミー(ロジャー・ダルトリー)

 

 バンドマンが主演を務める映画って、かなり珍しいのではないでしょうか。…日本だとRADWINPSの野田洋次郎さんが出演していた『トイレのピエタ』がありますね。


 

 ストーリーは…これもまた長くなりそうなので多くは語りませんが、ざっくり言うと、心にトラウマを負って三重苦になってしまった少年が様々な治療や対策を経てそれを克服する、というものです。かなり芸術的な作品なので分かりづらい部分はありますが、それなりに話の筋はつかめると思います。

 そもそも原作のアルバム1枚、つまり曲の連続で物語が成立している作品なので、映画ではセリフ部分が普通のミュージカル映画よりも極端に少なく、映画というより長いミュージックビデオという感じもします。ケン・ラッセル監督の得意とする狂気的な演出が、ザ・フーの提示する奇妙な世界観と融合し、非常に前衛的な映像を作り出しています。ミュージカル映画の中でもかなり異質な作品なのでは…。


 思いのままに長々と書いてしまいましたが、いかがでしたでしょうか。こんなマニアックでユニークな映画も存在するんだということを知っていただけたら幸いです。そして、もし興味がわいたら、ぜひ観てみてください。自分の中で新たな世界の扉が開くかも…?


映画チア部 ダーマエ

映画チア部京都支部

映画チア部京都支部とは・・・関西のミニシアターの魅力を伝えるべく結成された、学生による学生のための宣伝隊〈映画チア部〉の京都支部です。2018年5月発足

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