A GHOST STORY −死に関すること−
「死」や、「喪失」に対する考えは、人それぞれ、であって、明確な答えはない、と私は思う。
私にわかっていることは、彼ら(死者)は、どうやら私たち(生者)の世界には干渉できないようである、ということ。死者の肉体はきっと朽ち果て、家族や知り合いが燃やしてくれるかもしれないということ。
私たちは、誰かを失い、そして、時たま思い出す。
−あなたと私が過ごした場所−
「あなたがここにいた、と感じること」
学校や、書店、映画館、公園、カフェ、そして家。「そこにその人がいた」という事実が記憶として残る。家はその傾向が顕著である。彼らが存在した証が、物体として、多く残っているからだ。
けれど、私たちに彼らを思い出させる〝物体〟は汚れ、磨耗し、いつか消える。
そして、「あなたと私が過ごした場所」にもいつかは、終わりが来てしまう。わたしとあなたの思い出の場所は、いづれは見知らぬ誰かの思い出の場所になるのだ。永遠などはないのだ、と私たちは思い知らされる。
そこに残るのは、あなたの記憶だけだ。
死んだあなたの記憶だけ。そして、死んだわたしの記憶だけ。
−彼らと私たちの存在の証明−
私は残念ながら、まだ死んだことがないので、死んだ後どうなるか、を知らない。
私を残して死んでいった人たちを見て、私が確認できたのは、人は死んだら、肉体を失うということだけだ。
けれども、死者は私たちに影響を与え続けていると、私は信じたい。彼らが作品として残した音楽、絵画、小説、映画。もちろんそれらは、私たちにさまざまな感情や、生き方や、表現方法を与えてくれる。さらに、作品として残ってはいなくとも、その人が確かに存在したという記憶。「あなたがそこにいた」ということ。彼らは、さまざまなもの(この映画の場合は「家」)を媒体とし、時たま時空を超えちゃったりなんかして、私たちを生かしているのだ、と。
映画チア部京都支部 渡辺
『A GHOST STORY』
2017年/アメリカ/92分/A24作品
監督・脚本:デヴィッド・ロウリー(『セインツ 約束の果て』)
出演:ケイシー・アフレック、ルーニー・マーラ
配給:パルコ
(でも、気持ちはわかるが、お皿を割るのだけは勘弁してほしい。)
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